相続税とは?
- 定義
- 相続税とは、亡くなった人(被相続人)の財産を相続や遺贈によって受け継いだ人(相続人)が支払う税金のこと。
- 日本では、一定額以上の遺産を受け取る場合に課税される。
- 課税対象
- 被相続人が所有していた財産(不動産、現金、預貯金、有価証券、貴金属、事業用資産など)。
- みなし相続財産(死亡保険金、死亡退職金など)。
- 借金や未払いの税金などは相続財産から差し引かれる。
- 基礎控除額
- 相続税は一定の基礎控除額を超える財産に対してのみ発生する。
- 計算式:3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
- 例:相続人が3人なら基礎控除額は 4,800万円(3,000万円 + 600万円×3)。
- この額を超えない場合は相続税が発生しない。
- 税率と課税方法
- 超過累進税率を採用しており、財産額が多いほど税率が高くなる。
- 10%(1,000万円以下)~ 55%(6億円超)までの8段階の税率がある。
- 相続人ごとに取得した財産額を基に計算するが、まずは課税総額を計算して各人に割り振る方式。
- 申告と納税
- 被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から 10ヶ月以内 に税務署に申告・納付が必要。
- 延滞すると加算税や延滞税が発生する。
- 原則として現金一括納付だが、条件を満たせば延納(分割払い)や物納(不動産などで納付)も可能。
- 特例・控除制度
- 配偶者控除:配偶者は 1億6,000万円 または 法定相続分 のいずれか大きい金額まで無税。
- 小規模宅地等の特例:一定の条件を満たせば 最大80% の評価減が適用される。
- 未成年者控除・障害者控除:相続人が未成年や障害者なら税額を軽減できる。
- 生命保険金の非課税枠:「500万円 × 法定相続人の数」まで非課税。
- 相続放棄・限定承認
- 相続放棄:すべての財産を相続せず、負債を引き継がない方法。
- 限定承認:プラスの財産の範囲内で負債を引き継ぐ方法。
- どちらも 相続開始から3ヶ月以内 に家庭裁判所で手続きが必要。
- 生前対策
- 生前贈与:年間110万円までは非課税(贈与税の基礎控除)。
- 相続時精算課税制度:60歳以上の親から贈与を受けた場合、2,500万円 まで贈与税がかからず、相続時に相続税として精算可能。
- 家族信託:認知症対策やスムーズな財産承継に有効。
- 生命保険の活用:非課税枠を活かしつつ、遺産分割トラブルを防ぐ手段として活用される。
- 最近の改正・動向
- 2024年以降、相続税や贈与税の見直しが行われる可能性があり、対策がより重要に。
- 高齢化社会の進展に伴い、資産移転の最適化が課題となっている。
相続税対策は専門知識が必要なため、税理士や弁護士などの専門家に相談するのがベスト。