贈与税とは?

  • 定義
    • 贈与税とは、生前に個人から財産を無償で受け取った(贈与された)場合に課される税金。
    • 相続税の補完的な役割を持ち、富の移転を公平にする目的で設けられている。
    • 贈与を受ける人(受贈者)が納税義務を負う。
  • 課税対象
    • 現金、預貯金、不動産、株式、車、貴金属、絵画などの資産。
    • 住宅や土地の無償使用も贈与とみなされる場合がある。
    • みなし贈与(借金の肩代わり、親が子のローンを返済、時価より大幅に安い価格での売買など)。
  • 基礎控除額(年間110万円)
    • 1年間(1月1日~12月31日)に受け取った贈与額が 110万円以下 なら贈与税は発生しない。
    • 110万円を超えた分に対して税金がかかる。
    • 贈与を受ける人ごとに控除が適用されるため、複数の受贈者に分けて贈与することで節税可能。
  • 税率と課税方法
    • 贈与税は累進課税方式で、贈与額が大きいほど税率が高くなる。
    • 暦年課税(一般贈与)
      • 200万円以下:10%
      • 300万円以下:15%
      • 400万円以下:20%
      • 600万円以下:30%
      • 1,000万円以下:40%
      • 1,500万円以下:45%
      • 3,000万円以下:50%
      • 3,000万円超:55%
    • 特例贈与(直系尊属からの贈与)(20歳以上の子や孫が対象)
      • 200万円以下:10%
      • 400万円以下:15%
      • 600万円以下:20%
      • 1,000万円以下:30%
      • 1,500万円以下:40%
      • 3,000万円以下:45%
      • 4,500万円以下:50%
      • 4,500万円超:55%
  • 贈与税の申告と納付
    • 贈与を受けた翌年の 2月1日~3月15日 に申告・納付が必要。
    • 期限を過ぎると延滞税や加算税がかかる。
  • 贈与税の特例・非課税制度
    • 相続時精算課税制度
      • 60歳以上の親や祖父母から 18歳以上 の子や孫への贈与は 2,500万円まで非課税
      • ただし、相続時に相続税として精算される。
    • 住宅取得等資金贈与の特例
      • 親や祖父母から住宅取得のための資金を受け取る場合、最大1,000万円まで非課税(条件あり)。
    • 教育資金一括贈与の特例
      • 30歳未満の子や孫に教育資金を贈与する場合、1,500万円まで非課税(管理は金融機関)。
    • 結婚・子育て資金贈与の特例
      • 18歳以上50歳未満の子や孫への結婚・子育て資金の贈与は1,000万円まで非課税(管理は金融機関)。
  • 贈与税対策・節税方法
    • 毎年110万円以内の贈与(暦年贈与):基礎控除額を活用。
    • 相続時精算課税制度を利用:財産を早めに移転できる。
    • 生命保険を活用:保険金受取時の非課税枠を利用。
    • 特例贈与を活用:親・祖父母からの贈与は低税率で済む。
    • 夫婦間の居住用不動産贈与:婚姻20年以上の配偶者へは2,000万円まで非課税
  • 贈与税と相続税の違い
    • 贈与税は生前の財産移転、相続税は死亡後の財産移転に適用
    • 贈与税の方が税率が高いため、無計画な贈与は高額課税のリスクあり。
    • 生前贈与を適切に活用すれば、相続税対策にもなる
  • 最近の改正・動向
    • 2024年から贈与税・相続税の一体化が進み、より長期的な視点での財産移転が必要になる可能性あり
    • 生前贈与の加算期間が「3年」→「7年」に延長される予定(相続対策の影響大)

贈与税対策を誤ると大きな負担が生じるため、専門家(税理士など)への相談が推奨される。