• コンテンツ

    TV番組がせめぎ合う戦場!
    視聴者に「どうよ!」と訴える
    ラテ欄のキャッチ術

    2019.11.21

こんにちは、神戸 陽三です。

スポニチ時代は「誇張と省略」を多用し、ゲタのような大きな見出しで「見せて読ませる」 スポーツ紙独特の新聞作りに、知恵をしぼりました。

今回は視聴率競争で"最後の砦"といわれる「タイトル」「見出し」にこだわりました。新聞のラジオ・テレビ欄(ラテ欄)には、あの手この手のキャッチが飛び交っています。

なぜ?にこだわる「チコちゃんに叱られる」

画像出典:©NHK

高視聴率をキープしているNHKのバラエティ番組「チコちゃんに叱られる」(金曜夜)。

人気芸人の岡村隆やゲスト回答者が、「好奇心旺盛で物知りの5歳」チコちゃんの素朴な質問に答えられないと、「ボーっと生きてんじゃねーよ」と叱られます。

「この決め台詞がたまらない」と茶の間の笑いをさそい、チコちゃんの大人への上から目線や、ちょっと生意気な口調や振りがかわいいと評判です。
ちなみに最近、出題された質問は

「時代劇の時代とは?」

「なぜインフルエンザは冬に流行る?」

 「マツタケはなぜ高い?」

 「うどんのコシって何!」

「浦島の玉手箱って何?」

これらは番組内容に沿った見出しで、答えに窮する回答者の顔が浮かびます。
番組タイトルと見出しのコラボが成功しているようです。

「まずタイトルの面白さがあり、常識や現実の隙間を狙った内容。それを受けた見出しが効果的。人気になり昨年4月、単発を経てレギュラーになっています」(メディア記者)。

さて、チコちゃん以外にも叱ったり、笑わせたり、呼び掛けたり・・・視聴率アップを目指して多彩なキャッチが、ラテ欄でしのぎを削っています。

番組タイトル、とくに毎回の見出しは、関係者の最後のお願いなのです。

「ウチくる!?」視聴者との距離をぐーんと縮めた番組

画像出典:©Fuji Television Network

なんといっても「ウチくる!?」のタイトルには仰天しました。

番組は昨年3月で終了。フジ日曜"昼の顔"で、19年間も続いた長寿番組でした。

内容は有名人の故郷の家で待ち合わせ、思い出深い町などをめぐるオールロケ。
「ウチくる」とは、好奇心をくすぐるタイトルですね・・・

番組最終回でMCの中川翔子は「たくさんの出会いがあり、もう夢のようでした」と感激。タイトルや見出しが身近に感じられた、とネットでも評判になりました。

取材相手や視聴者との接近を実践する番組、「あいつ今何してる?」(テレ朝水曜夜)やテレビ東京「YOUは何しに日本へ?」(月曜夜)は、人へのこだわりです。

画像出典:©tv asahi 
画像出典:©TV TOKYO

「あいつ今」は学生青春時代の"なつかしい人"との感激の再会。「YOUは」は空港で出会った外国人に「何しに日本へ?」と直撃。時には密着取材も試みるという番組です。

「人間関係が希薄な時代に、思い出の人や外国人との交流は、ヒューマンな味付け。基本は出会いのエモーション。呼び掛け・語り掛け型のタイトルとも通じます」(メディア記者)。

饒舌か凝縮か?ラテ欄の流儀

地上波、BSそしてCS。多チャンネル時代のラテ欄は、番組同士がせめぎ合う戦場。

タイトルや見出しをひねり出し、日々、最強かつ最後の戦いが繰り広げられています。

最近は視聴者を獲得するために、言葉を凝縮し、ひらがな・カタカナ・漢字をバランス良く並べて、リズム感や視覚効果に訴える手法がトレンドです。
                    
その一方で、「科捜研の女」(テレ朝木曜夜)のように、劇画的描写が売りの番組もあります。

画像出典:©tv asahi 

まるでト書きのような見出しは圧巻。

「マリコVS菌活の女!? 空飛ぶ納豆とパン工房 殺人の謎!!」(14日放送)

「刑事部長の憂鬱! マリコの部下は刑事部長!? 殺人現場を再現する謎の芋」(7日放送)

放送開始から今年で20周年。沢口靖子演じる法医学研究員「マリコ」の熱演で、ファンにとって30字前後の長い見出しは、「想像力を刺激する」そうです。

※今回「科捜研」は便宜上1行で書きました。新聞のテレビ欄は、プレミアムタイム(19時-23時)で1行の文字数は約10字前後。行数は放送時間が長いほど多く、1時間番組は5~6行で、50~60字との仕組み。各局、勝負番組はカラーバックを多用しています。

制作者の渾身の思い。看板番組が並ぶプライムタイムは、キャッチの主戦場のようです。

人気芸能人の名前を冠にしたタイトルが多いワケ

 
「有吉やマツコは、いまや情報バラエティ番組を牽引する存在。毒舌を絡ませながらもギスギスした世相を的確に分析。彼らのキャラや名前が番組のキャッチそのもの。有吉がNHK総合に起用されたのはビックリです。冠番組で初レギュ―ラですから」(放送担当記者)

画像出典:©NHK

NHK初の冠番組は「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」(土曜夜)。番組はなかなか聞けないお金のヒミツを掘り下げる内容。見出しも「突撃」と刺激的です。

有吉やマツコのように、冠MCの名前がタイトルに付くのが、圧倒的に多いようです。有吉はやる気満々で、「チコちゃん」とのガチンコ対決が見もの!との声も・・・

多彩なタイトルや見出しは世相の鏡!

この一週間のラテ欄を声を出して読んでみました。意味不明な「4文字」や「!?」の多投が散見されました。

ビックリしたのは、NHKEテレの「ねほりんぱほりん」(水曜夜)でした。

画像出典:©NHK

韻を踏んだ不思議なタイトル。国立国語研究所によると、『日本語は「ゲラゲラ笑う」「メソメソ泣く」のように、オノマトぺ(擬音語・擬態語)をとても好む』そうです。

なんだかメルヘンチックなタイトルですが、番組のスタイルは人形劇×赤裸々トーク。

ゲストは訳あり。見出しも強烈で「買い物依存症の女!!私を止めて!総額1億高級ブランド衝動買い」(20日放送)。

思わず赤丸チェック。「衝撃のゲスさが凄い」とネットの声も・・・

たしかにタイトルや見出しは「いま」や「なぜ」を下敷きに、新語・造語+「秘密」「真実」「脅威」などをスパイスに、訴求力を競っています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「タイトルや見出しが良くても、番組の中身が悪ければ視聴率には繋がりません。厳しい現実があり、ラテ欄での競争は変わりません。一方、リアルタイムでつぶやいたり、ネットの反応や拡散力には注目しています」(キー局の番宣担当)。

見出し力をアップするために「言葉の力」を磨き、番組のイメージに繋げる。
ユニークな見出し作りにしのぎを削る現場。フーっと吐くため息が聞こえてきそうです。

受け手に「どうよ!」と訴えるヒントは「路地裏の風」を感じることかも知れません。

神戸 陽三

スポニチや関連会社を退職後、5年前に「メディアコンテンツ神戸企画室」を立ち上げ、テレビの企画や紙媒体・サイトの原稿執筆、大手プロダクションのプランナーとして活動。今年1月にはプロの作詞家としてデビュー。省略と誇張の四行詩にこだわっている。スポニチに入る前はテレビディレクターとして、ドキュメンタリーを手掛け、アマゾンの奥地など世界20ヵ国を飛び回る。記者時代は突撃の手法で、芸能史に残るスクープを残した。「公益財団法人 情報通信学会」会員。趣味は哀愁漂うファドを聴くこと。

人気記事

matching

信頼できるクリエイターと働きたい!
雇用形態にとらわれず、
プロジェクトにマッチする人材を
ご紹介します。