女性アスリートに向けた、アパレルブランド『KINGLILY』を設立
ファッションデザイナー・岡田友梨が語る夢のかたちとは
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女性アスリートに向けた、アパレルブランド『KINGLILY』を設立
ファッションデザイナー・岡田友梨が語る夢のかたちとは
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全日本レベルの大会で何度も優勝し、世界選手権でも銅メダルを獲得した実績を持つ、元女子レスリング選手の岡田友梨(旧姓:甲斐)さん。引退後に女性アスリート向けのアパレルブランドKINGLILYを立ち上げ、新たな目標へ向かって邁進する彼女に、将来の夢について語っていただいた。

JOB現役選手時代の悩みから誕生したアパレルブランド

ーーお仕事のことからお聞かせください。

女性アスリートに特化したアパレルブランドを立ち上げて運営しています。これは、スポーツウエアではなくて、普段着るお洋服のブランドです。身体をを鍛えたことによって、選手時代、既存の市販の洋服ではサイズが合わなくて、締まってるところが締まって見えず、だらしない印象になってしまうという悩みがずっとありました。これは、絶対に自分と同じ悩みを抱えている人は多いだろうと思って、選手引退後ブランドを立ち上げたのです。
現在、ブランドの運営は夫と二人で行なっています。その中で私が担当しているのは、お洋服のデザインと、ブログやSNSにおいての訴求といったプロデュース面です。自分が体験したことだから、自分がインフルエンサーになって語るのが一番だなと思って、メディアを通じでコーディネートのアドバイスなどもしています。その他の、生産、販売、管理、ECサイトのシステム構築、業者とのやりとりなどは、全て夫がやってくれています。

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ーーいつごろから本格的にファッションの世界を目指すようになったのですか?

大学卒業後も企業に所属して現役選手を続けていたのですが、本格的にファッションの世界を目指そうと思ったのは27歳で引退すると決めた時です。その翌年の4月から、専門学校の社会人コースに入学して1年間デザインを学びました。

LIFE全てが仕事につながっている楽しい日常生活

ーープライベートの時間はどう過ごされていますか?

今は、プライベートと仕事は分けてなくて、休みの日はつくっていません。雑誌やメディアで何が流行っているのか、街行く若い女性たちが何を着ているのかをチェックして、そこから得た情報をアスリート向けにアレンジして、ブログやSNSで情報発信するのが楽しい時間でオフにもなっています。友人と話すことも、趣味であり仕事ですね。伊調馨さんをはじめとした現役の女子レスリング選手も仲が良いのでよくお話するのですが、そんな会話の中から得るヒントも沢山ありますね。

ーー選手だった頃は、どうだったのですか?

レスリングが嫌いになったことは一度もないのですが、やはりレベルが上がっていくうちに純粋に楽しめなくなってる自分がいました。支えてくださる方々、お給金を支払ってくださる会社に、そのご恩を返していかなければいけないということを意識し始めてから、負けるのがすごく怖くなった。そうなると、弱みを見せれなくなる、失敗が怖くなるという負の連鎖が自分の中で起こってきて、少々しんどいなと感じるようになっていましたね。また、そんなぐらついている自分に対して、お給金が発生しているという状況も耐えられなかった部分があります。

LIKE「強く美しく」がブランドのコンセプト

ーー女性選手がファッションに興味を持つと「色気づきやがって」といったネガティブな反応をされるとことが多いと思うのですが、女性の場合、異性にモテたいということでファッションを楽しむのではなくて、ファッションそのものが楽しいんですよね?

そうなんです!私は学生時代からすごくファッションに興味があったのですが、あくまで、競技生活のオフの時間に気分転換できるものとして楽しんでいました。けれども、試合に負けたり、結果が振るわなければ「チャラチャラしてるから勝てないんだよ」と言われてしまう。もちろん、年頃の女性であれば恋愛はしたいという気持ちがあるとは思いますが、それとファッションは別です。
自己満足といったら少し語弊があるかもしれないけど、女性の場合、鏡に映った自分をみて「かわいい」と思えるだけで、テンションがあがります。だから競技生活にもプラスになるはず。女性アスリートにも、夢を叶えるために身体を鍛えることを選んだだけで、女の子特有の「かわいい~!」っていう感覚も持っていることを理解してほしいなと思いますね。

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ーーそういう思いが、女性アスリートためのブランド設立につながったのですね。

そうなんです。ニーズは確実にあるけど、小さくてニッチなマーケットだったから入り込めたと思います。ただ、ブランドを立ち上げてみて初めてわかったのは、現役選手以上に元アスリートの女性にニーズがあるということです。

競技引退後、社会に出てフォーマルできれいな格好をしなければいけない状況が増えると、ファションの悩みに直面します。そういう方に対して、今すごく売れてるんです。昔一生懸命スポーツで頑張ってきた大人の女性が、社会人として日々の生活をおくる中で、KINGLILYを選んでくれているのも、本当に嬉しいです。Tシャツなどは伸びる素材で作られていますが、シャツやブラウス系は、伸びにくい素材が多く、筋肉質な体にはフィットしないので、最初はそれらをラインナップに揃えましたね。それと良い品質のものを提供したいので、日本製であることにもこだわっています。

また、オリンピックの影響で、キッズレスリングの競技人口も増えているのですが、その子たちが成長して、ファッションに興味をもつような年齢になったときに、筋肉つくから嫌だといった理由で競技をやめられてしまうのは、非常にもったいないですよね。なので、その回避にも貢献できると思っています。

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ーー「筋肉をつけて他を大きくさせることでウエストなどを細くみせることもできる」ということを女性のフィットネストレーナーから伺ったことがあるのですが、ファッションも同じなのでしょうか?

その考えはすばらしいですね。「強く美しく」というのがブランドのコンセプトなのですが、私はアスリートの身体ほど、美しい身体はないと思っています。大きい所に合わせてしまうことによって「くびれ」の部分って消え去ってしまう。だから、そこをうまくメイクしてあげるというのがKINGLILYの特徴です。格闘技など、ごつい系の競技をやってる女子選手は、子供の時に、ゴリラ系のあだ名をつけらたことがある人が多い。私も「ゴリぽん」って言われてました(笑) そういうのがコンプレックスなってしまう人も多いので、そんな部分も払拭してあげたいのです。
男子選手は、筋肉を隠そうとしてませんが(笑)、女子選手は、自分の筋肉を恥ずかしいとおもっていたり、隠したいと思っていることが多い。そうした隠したいという気持ちは尊重した上で、太い部分を上手くカバーしつつ、美しいラインを際立たせていくのが当ブランドの基本な考えです。

ーースポーツによって体型は異なるとおもうのですが、競技特性も考えていますか?

はい。ただ、競技によって、上半身が太くなったり、下半身が太くなったりする違いはありますが、人間の身体の構造は同じなので、筋肉の大きくなる場所って、実はそんなに変わりません。お洋服って、結局のところトップスとボトムスの組み合わせなので、上半身と下半身どちらを綺麗に細く見せたいのか、どちらは市販の服で大丈夫なのかを見極めることで、コーデが全然変わってくるんです。

ーーファッション以外に趣味はありますか?

ファッションを省いたときに趣味は何かと聞かれたら、ノロケですけど、たぶん夫ですね(笑)夫であり友人といった感じです。私は、挑戦することに臆せず突き進むタイプですが、彼は目標に対して今は何をすべきかを整理してくれる計画的で堅実なタイプなので、考え方が真逆です。だから、相性がいいのかもしれませんね。

CHANGE悔しさから生まれた自分だけの目標

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ーー人生でターニングポイントだったと思う時期について教えてください。

子供のときから、割と自分の好きなことを自主的に目標に掲げるタイプでした。そして、自分でこれ以上できないくらい頑張って、本当にやりきったと思ったらスパッとやめるということを繰り返して来ました。最初は柔道で、次がレスリングです。
私がレスリングでオリンピック出場をかけて対戦した相手は、小原日登美さん(ロンドン五輪金メダリスト)なんですが、小原先輩の生き様を見た時に圧倒されて、この人には本当に勝てないなと思ったんですよね。そう思ったときに、自分に対してすごく悔しいという気持ちが湧き上がりました。うまく説明できないのですが「自分の人生を、こんなもので終わりにしたくない。もっと何かができる。きっと、次の夢があるはず」と強く思ったのです。では、その夢は何かと考えた時に、私はファションでした。実は学生の頃から、もし引退後に同じようなコンセプトのものがなかったら、自分で女子アスリート向けのブランドを立ち上げようと考えていました。レスリングと同じように情熱を注げるものを考えた時に、そうした思いが燻っているのに気づいたのです。
スポーツ競技は、大会があって目指すべきものは既に決められている世界です。そういった用意された目標ではなくて、目指すものを自分で作りたいなと思いました。「誰にもできないことを自分がやろう!」という気持ちでしか、競技で負けた悔しさを払拭できなかったのだと思います。

ーー引退後の生活が、競技生活のおまけみたいな感じになってしまうのが嫌だったのでしょうか?

そうなんです。同じように人生をかけて、競技に情熱を費やしてきたのに、引退したら負けた選手は、いなかったのも同然になる。一方で、頂点を目指して生きてきたので、普通の生活で満足するのも無理だと感じる自分がいました。
だったら、自分が新しい道を切り開いていけばいいのではないかと思ったんです。だから、それまでの実績はすべて捨てて、あえてゼロからスタートするものを選びました。そこから挑戦して、もし夢が叶えられたら、私のような気持ちを抱いている元アスリートに希望を与えられるのではないかなと思ったのです。

私がブランドを立ち上げたのは32歳なので、夢を叶えるのに遅すぎることはないということも、自分の背中で伝えたかったですね。今後は、元アスリートをはじめとして、夢を持った大人や、今の自分に自信がない人に対してコンサル的なサポートもできたらなと思っています。競技引退後の人生が明るいものじゃないと、スポーツの裾野は広がっていかないですよね。選手は、いつか必ず引退する時がくるんですよ。でも、引退後の人生に希望を見出せてなかったら、競技をズルズル続けて自分の人生の時間というものを100%活かして過ごせなくなってしまう。それって、非常に勿体ないと私は思います。

SENCE自分の考えを言語化できるということ

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ーー岡田さんが考えるセンスのいい人というのはどんな人ですか?

私の考えるセンスのいい人というのは、自分の考えていることとか、思いを自分の言葉できちんと言語化して語れる人だと思っています。たとえ、奇抜なファッションだとしても、その人がなぜ、こういう服をしているのか理由を言語化して語れるような人はセンスがいいと思いますね。

(2017/02/24 塚本建未)

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プロフィール
1984年、滋賀県生まれ。
ファッションデザイナー。KINGLILY株式会社代表取締役。中学時代は柔道に取り組み、高校進学とともにレスリング転向。名門・中京女子大(現・至学館大学)に進学後、ジャパンクイーンズカップ、アジア選手権、ユニバーシアード、ワールドカップなどで数々の大会で上位入賞を果たす。大学卒業後は、アイシン・エィ・ダブリュに所属し、現役生活を続行。全日本選手権優勝、世界選手権3位などの戦績を誇る。引退後、2015年10月にKINGLILY株式会社を設立、2016年4月から女性アスリート専門のアパレルブランド「KINGLILY」を立ち上げ代表取締役兼デザイナーとして活動している。

【KINGLILY shop site】
http://kinglily-shop.com/
【KINGLILY blog】
http://kinglily.jp/
【KINGLILY Instagram】
https://www.instagram.com/kinglilydesigner/
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