人間力=面白さ。多感な時期にはいろんな経験するのが大事
イラストレーターのりゃんよさんに話を聞いた
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人間力=面白さ。多感な時期にはいろんな経験するのが大事
イラストレーターのりゃんよさんに話を聞いた
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JOB私が身を切って学んできたことを教えたい

──りゃんよさんのお仕事は?

商業的イラストレーターです。わざわざ“商業的”とつけているのは、「イラストレーターです」というと、似顔絵を描いている人や、展示会をやっているアートっぽい方を想像されることが多いんですが、私は自分が描いた絵を売るんじゃなくて企業さんから依頼が来てから描く、ビジネスちっくなイラストレーターなので、商業的イラストレーターと名乗るようにしています。

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──webと紙の両方でご活躍ですね。

本の仕事のときは、その本のためだけに絵を描くことが多くなるんですけど、描いている個数でいうと、webの方が多いですね。LINEスタンプとか、webでの広告のイラストなどです。

──美術大学の先生もなされるのだとか。

そうなんですよ。2017年からなんですけど、美大で2コマ講義を持ちます。私が大学教授なんて、おこがましいんですけどね(笑)

──どんなことを教えるのですか?

私自身は美大に通わないでイラストレーターになったんですが、どうやってイラストのお仕事をもらえてるのかと思うと、元々一般企業に就職していて、脳みそがアートアートしていないからっていうのは大きいと思うんです。依頼する側の気持ちもわかるし、こちらのやりたいことをうまく主張できたり、やり取りやコミュニケーションがスムーズだから依頼しやすと思います。でも、そんなことを美大生の子はわからないと思うんです。美大に行っていて絵がうまい、でも、絵の仕事に就けない子は意外と多いそうです。そんな人たちの手助けをしたい。仕事の取り方とか、単価の上げ方とかですね。

──それはいいですね。

「女の子は、飲み会でおじさんが『仕事あげる』といってくることは多いけど、ウソだから付いて行っちゃダメだよ」とか(笑) 世間はしょせん、そんなものだよということをコテンパンに教えてあげようと。

──付いて行っちゃダメですか(笑)

私の経験でいうと、前振りでわざわざ、「『仕事あげる』といって近づいてくる人がいるけど、僕はそうじゃないから」といってくるおじさんは半分くらい怪しい(笑) でも、不愛想なんだけど、絵を見たら表情が変わるおじさん。絵を評価してくれるおじさんはちゃんと仕事くれますね。そうゆう私が身を切って学んできたことを教えたいと思っています。

LIFE住む場所でギャラが変わることもある!

──いまは港区にお住まいなんですね。

田舎者なので昔から憧れがあったんですよ(笑) 住みたい憧れの街でした。東京に来たのは9年くらい前ですが、最初はもっと端っこに住んでいて…3年半ほど前から港区に住むことができました。

──おしゃれな街ですよね。

それももちろんですが、フリーランスは、どこに住んでいるかって見られるんですよ。クライアントから「いくらで描いていただけますか?」と聞かれると、こちらから金額を提示することもあります。安いと十分の一だし、大きく出ると十倍にもなる。そのとき「どこにお住まいですか?」と聞かれて「港区です」といえるのはイメージとしてすごく大きい。これはイラストレーターに限らずフリーランス全体だと思うんですが、クライアントとは心理戦がありますね!

──なるほど。イメージは大切ですよね。

打ち合わせで着る服も出版社の方とか女性とお会いするときはきちんと大人しいものを選びますが、広告代理店やIT系の会社の方だと、ちょっとオラオラな高い服を着たりします(笑)

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LIKE飲み会では面白い人をアピールしちゃう

──趣味は?

飲み会ですね!合コンは好きじゃなんですけど、いろんな人と会うのが好きなんです。私はせっかく会えた人には覚えてもらいたいってことに命をかけていて、だから呼ばれたら全力で身を切ったネタを披露します。それで面白いねとか気に入ってくれた人に次にまた、呼んでもらえたりするのがすごく嬉しいんです。

──飲みに行く頻度は?

仕事が忙しいときが多くて、なかなか行けないんですが、多い時は週に4件とか5件ですね。誘いはほぼ毎日のようにありますね。特に金曜日は多いですね、1日3件とかあります。

──飲み会に行くのもタイヘンですね。

仕事の進行上、予定が組めないんです。夜の2時くらいに電話がきて「いまから、これる?」と聞かれて都合がつきそうならボサボサな状態から化粧して行くみたいな感じです。

──港区だとタクシーを走らせたらどこにも近いですからね。

でも、遠くに住んでたら逆に飲みに行かなくてすむのに、と思ったりもします。飲み会から帰ってきたら仕事しますし。

──えっ、仕事するんですか?

基本、仕事してます。飲み会に行くまで仕事して、帰ってきて仕事して。飲み会は気分転換です。

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CHANGE師匠に捨てられことが転機に

──一番、大きな転機は?

ちっちゃい頃から絵を描くことは好きだったんです。でも、親が絵の先生で絵で生活することの苦しさを人一倍知っていたから、子どもには絵の仕事はやらせたがらなかったんですね。私が小学校のときに「絵をやりたい」といったんですけど、その時点で止められました。私はその頃ピュアピュアのいい子ちゃんだったので、そういわれて『絵を描くことはできない』って諦めました。

普通に就活したんですけど、バンダイの説明会で大人がオモチャを全力で作っている映像を見て、すごく感動したんです。それで、オモチャの開発をやりたくて、バンダイグループの会社に入社しました。今思うと当たり前なんですが、入社してすぐやりたいことなんてやらせてもらえなくて。落ち込んでいたときに、呼ばれたあるホームパーティで男性のイラストレーターの方と知り合ったんです。その人が「君はイラストレーターに向いているよ。俺が教えてあげるよ」と言ってくれて。そのときは若さによる謎の自信だけで会社辞めて、そのイラストレーターの方を師匠として毎日、絵を見てもらうようになりました。1、2か月してやっと自分のテイストができて、これから仕事を取りに行こうとしたとき、師匠から「付き合ってほしい」と言われたんです。私はすごく人として好きだったし尊敬してたんですが、そうゆう風には見てなくて……

──(笑)

そしたら「じゃ、破門じゃ~~」となって。それでフリーランスのイラストレーターになるんですが、転機は師匠に捨てられたことですかね。

──りゃんよさんが師匠を捨てたのでは?(笑)

師匠に捨てられて、腹くくりましたね。会社辞めたときも、「稼げなくても師匠がなんとかしてくれけるだろう」という甘えがあったんですよね。でも、ひとりになったとき『なんでもしてやる~~』という気持ちがすごかったです。それまでは目的意識もなかったし、ピュアすぎて、ずるがしこさもなかったんです。

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──イラストレーターとして独立したときの目標はなんだったんですか?

最初の夢は小さくて、イラストで稼いで生活することだけだったんです。でも自信がなかったらヨガのインストラクターの資格も取って『ヨガで10万円、イラストで10万円稼げたら生活できる。私は幸せ』と思っていました。

でも、だんだん稼げるようになって、去年は本当に目が回るくらい仕事がたくさん来て、生活に余裕もできました。すると逆に夢がなくなっちゃったんです。頼まれた仕事のイラストを描いてお金を稼ぐということだけじゃ、今までみたいに感動できなくなっちゃったんです。『絵を描きたいけれど、何のために描くんだろう?』と考えるようになりました。それで、絵を仕事にできない人に、仕事にする方法を教えてあげたい、と思ったんです。それと、いい方は悪いですけど、私がそうだったように、親の影響で夢を捨てた子どもが、自分の道を見据えて突き進むことをテーマとした絵本を描きたいと思っています。教える方は大学の講師という形で実現できることになったので、絵本の方も実現したいですね。

SENSE気づくことはセンス。人間力は面白さだ

──センスと聞いてなにを連想されますか?

これは私が今まで出会った人で実感した持論なんですが、なにが良くて、なにが面白くて、なにがダメかを判断さえできれば、成功すると思っています。例えば絵だって、直線が描けなくても、『これは直線じゃない』と気づけば何度でも書き直せれる。気づくことがセンスだと思っていますね。気づいた後は直すだけなので。

──真面目に考えていらっしゃますね。

普段はもうちょっとふざけているんですけど、このインタビューはそういう感じじゃないなと察して(笑) 仲良くなった人には「真面目だね」といわれるんですが、私はそれがすごく嬉し恥ずかしい。本当は面白い人でありたいなと思っています。

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──面白い人になるにはセンスいりますよね。

仕事できなくても、しゃべってて楽しかったり、面白いものわかっている人は、いくら納期が遅れても、値段高くてもやっぱり仕事もらえてる知り合いのフリーランスをたくさん見てきて、人間力=面白さなんじゃないかなって。絵を描く人に思うのは、絵の練習はいいけれど、絵なんて後から上達するから、多感な時期にはいろんな経験するのがすごく大事だと思っています。

──飲み会にしても「忙しいからいけません」じゃ、つまらないですよね。

逆に、忙しくなくても面白くなければ行かなかったりします。『絶対に行きたい』と思ったら、仕事ちょっと休んでも行きますね。人間から学ぶことってすごく多いです。だから悪いヤツから、めっちゃいいヤツまですごく好きなんです。でも、真ん中のどうでもいい人はあまり好きじゃない。だから、めっちゃ痛い目あうし、めっちゃいいこともある。ほんと、両極端です。

──人が好きなんだと伝わってきます。

私が会うことで、私がその人の“なにか”になればいいなと思っているんです。「こいつバカだな~~」でもいいんです。私のことが記憶に残ってくれると嬉しいです。

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(2016/12/1 大橋博之)

プロフィール
1987年生まれ。オモチャ会社に就職するが、飲み会で某イラストレーターに出会い弟子入りする。2011年よりフリーのイラストレーターとして活動開始。
著書『好きなイラストを描いてオカネを稼ぐ方法』(TEN-BOOKS)
『りゃんよのおもしろかわいいイラストの描き方』(玄光MOOK)
『結婚生活マニュアル』(学研パブリッシング)
『東京一年生』(Linda BOOKS!)
ゼクシィアプリで「花嫁できるもんっ!」連載中。他にエキサイトでコラム「長所は短小」「シモニケーション講座」などを執筆。
公式HP:http://illustrator-ryanyo.com/
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