中学時代の夢を叶え、
憧れのテレビドラマの脚本家に
「電車男」で脚本家デビュー、話題のドラマ脚本を手掛ける、徳永友一さんに話しを聞いた。
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中学時代の夢を叶え、
憧れのテレビドラマの脚本家に
「電車男」で脚本家デビュー、話題のドラマ脚本を手掛ける、徳永友一さんに話しを聞いた。
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サラリーマン時代の経験を活かして

――ドラマの脚本家には、どうすればなれるのですか?

色々なコンクールに応募するのが一般的ですね。あとは脚本家のスクールに通ったりして、人脈をつくっていくところから始める人も多いですよ。私も、昔から脚本家に憧れていて、大学時代は脚本のスクールに通い、色々なコンクールにも応募していました。そして周りが就職活動し始めた時、スクールの先生に相談をしたところ「本当に脚本家で生きていくなら、まずは、会社に就職をして経験を積んでいったほうがいい、経験がない人に、たくさんの人々が登場するドラマの脚本なんて書けないし、企業や組織で得るものがたくさんあるはず」とアドバイスをもらったんです。今年でちょうど脚本家デビューから10年経ちますが、先生が言っていたことがいまとても理解できるようになりました。

――人材派遣会社で働いていた経験が今活かされているということですか?

はい、そうですね。人材派遣の会社では、社内や社外でプレゼンテーションを行う経験もさせてもらったので、自分たちの意見を相手に伝え、それに賛同してもらうための術を学ぶことができました。時には、反対意見を言われたり、提案した内容を否定されたこともありましたけどね(笑)。

しかし、それが今とても役立っているんです。脚本をまとめていく中で、経験豊富なテレビ局のプロデューサーや、監督の方々と、内容を打ち合わせすることが多いのですが「ここはこうしたほうがいいんじゃない?」「この設定じゃなくて、こんな設定に書き換えたらどう?」など色々意見をもらうんです。

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(写真は、現在放送中のフジテレビ「探偵の探偵」の脚本打合せの様子)

もちろん、そこから意見を上手に取り入れて、脚本に膨らみや奥深さが出てくることも多いのですが、全てのアイデアを取り入れていくと、元々あった意図や想いが崩れてきてしまうこともあります。そんな時、自分の意見を明確に伝え、どのように脚本をまとめ上げていくかを提案する力、そして自分の意見を否定されても、きちんと相手を説得して脚本を書き上げていく力が必要なんです。7年間のサラリーマン生活で、貴重な経験をさせてもらった人材派遣会社に感謝しています。

涙をボロボロ流しながら、書いていました

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(写真は、徳永さんが手掛けたドラマのサントラ版です。)

――プライベートとお仕事のバランスはいかがですか?

5年前に結婚して、今、二人の息子がいます。毎朝、早くに起こされるので、一緒に朝食を食べたり、じゃれあったりする時間を確保するようにしていますが、脚本の仕事は、どっぷりと時間を拘束される事が多いですね。

つい先日まで、2015年7月からスタートしているフジテレビの「探偵の探偵」というドラマの脚本を手掛けていたのですが、この企画が上がったのが昨年12月。そして2015年1月には全11話のプロットをつくり、それからプロデューサーや監督と何度も打ち合わせを重ね、2月の半ばにやっと第一話が完成したんです。1話ができると、その後は少し楽ですが、結局、このドラマを脱稿したのは、最近だったので、第一話ができてから、半年間は「探偵の探偵」にかかりっきりでした(笑)。ようやく脱稿の見通しが出てきたので、この機会じゃないと家族サービスができないと思い、急遽、家族四人でキャンプを楽しんできました。いつも辛い想いをさせていたので、みんなの喜んだ顔を見ることができて、ホッとしました。

――脚本はご自宅で書かれることが多いのですか?

ときどきカフェで書くこともあるのですが、基本は自宅の書斎に籠るのが好きです。主人公や登場人物の気持ちを感じるため、その情景に合わせた音楽を聴きながら書くことが多いのですが、選曲は専ら自分が手掛けたドラマのサントラですね(笑)。悲しいシーンや切ないシーンを書いていると、自分でも気づかないうちに涙がボロボロ出てきていることもよくあるんです(笑)。音楽は、脚本を書く時に不可欠なものですね。

地上波のドラマの世界で生き続ける

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(写真は台本と、スタッフへ見せる前にプリントアウトし、ご自身でチェックをしているシートです。)

――脚本家になろうと思ったキッカケは?

とにかくドラマが大好きなテレビっ子だったんです。中学時代には、トレンディードラマが全盛期で、ほぼ全てのドラマを網羅していました。そして、毎回、このドラマで何を得られたか?をメモした「ドラマ日記」を書いていたんです(笑)。あの頃は、脚本家という職業を知らなかったんですが、ドラマに関わる仕事をしたいと考えていました。

――脚本家は狭き門ですよね?

そうですね。いま日本には地上波のゴールデンタイム枠の連続ドラマが年間約56本あるのですが、数回脚本を担当して、消えていってしまう人も実際います。この限られた枠の中で、熾烈な争いがある訳です。新人からベテランまで、何人もの脚本家が、仕事をとるために企画を出したりしています。

今後、映画の脚本にも挑戦していきたいな〜と思ってはいますが、やっぱり私は10年後も、20年後も、一番好きな地上波のテレビの世界で生き残っていきたい!と、いう気持ちがとっても強いですね。だから、新しいドラマのお仕事を頂く度、この仕事から、また次の仕事に繋がりますように!と、願っています。

また仕事をしてみたいと感じさせる人

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――徳永さんが感じるセンスのいい人ってどんな人ですか?

ひと言で言うと“問題点の洗い出しがスマートな人”ですね。私たちはドラマというモノをつくっていますが、どんな内容でも、モノづくりをする時、一回でスムーズに仕上がることってないですよね?何らかの問題点や課題が出てきた時、その洗い出しを明確にし、それを適任者にわかりやすく伝え、完成品へ導いてくれる人。そんな人と出会うと、また、この人と仕事をしたい、させて欲しいと思っちゃいます。

(にしのゆか)

プロフィール
1976年生の脚本家。2001年独協大学法学部法律学科卒業後、人材派遣会社へ入社。サラリーマンを7年間経験後、2002年 オリジナル作品「同棲倶楽部」が第14回フジテレビヤングシナリオ大賞最終選考対象作品に選出される。2005年「電車男」(フジテレビ)脚本執筆(6話)にて地上波デビュー。その後、「ホームレス中学生」(フジテレビ)、「LADY〜最後の犯罪プロファイル」(TBS)、「海野上の診療所」(フジテレビ)など、多くの連続ドラマを手掛け、現在放送中の北川景子主演「探偵の探偵」(フジテレビ系列木曜10時)の脚本も担当。2015年10月10日スタートする有村架純主演「海に降る」(WOWOW連続ドラマ)の脚本も手掛ける、いま、人気若手脚本家。
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